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[鍼灸体験記] 帯状庖疹観察記-鍼灸治療のみで治す

1.帯状庖疹を鍼灸治療だけで治す事を決意
 夏休みの思い出といえば、海や山や花火等、色々と思い浮ぶわけですが、僕の今年の思い出は帯状庖疹ですね。実は約2週間前から帯状庖疹に罹ってしまい、ひそかにそれと戦っていました。
 帯状庖疹という病名だけは多くの方が聴いたことがあると思います。簡単に説明すると、鋭い神経痛と水疱の集合体が帯状に発生する病です。帯状庖疹で入院する方なんかもいらっしゃいますが、通常は皮膚科を受診し、早期に抗ウィルス薬や鎮痛薬等の薬物療法を開始すれば予後がかなり良く、2~4週間程で治癒します。
 もし患者さんが帯状庖疹に罹ったら僕は皮膚科の受診を勧め、同時進行で疼痛の管理や治癒を早めるために鍼灸治療を行います。しかし、今回は自分の体ということもあって、鍼灸治療以外の治療を一切受けずに帯状庖疹と戦ってみました。鍼灸でどこまでできたか、以下にレポートします。

帯状庖疹
見苦しいかもしれないですが、これが僕の帯状庖疹の実物です。



2.日々の状況と治療内容
 痛み消失までの約2週間の記録です。合計四回鍼灸師に治療してもらい、残りの日は自分で鍼灸治療を行ったり、家族に家庭用の温灸をすえてもらったりして、疼痛をコントロールしました。
・7月25日 脱衣中に
【状況】
入浴前に服を脱ぐとき、右の脇の下にピリピリと軽い違和感を覚える。この時はまだ帯状庖疹とは気づいていない。その後深夜3時くらいまで講義の準備をする。
【治療内容】
無し
・7月26日 ちょっとした違和感
【状況】
この日は朝から学校に講義をしに行き、中休みに往診、夜間部の授業後は友人と飲みに行って帰宅は午前。
【治療内容】
鍼灸治療を受療。この時は養生のために全身治療をしてもらうのが目的で、かかりつけの鍼灸師に「脇の下がちょっとだけ変な感じがする」と告げると、その先生は脇の下にお灸をすえる。この脇の下のお灸がその後を軽くしてくれた気がする。
・7月27日 ついに痛み始める
【状況】
脇の下のピリピリ感が鍼で刺すような痛みになり、痛む範囲が右胸部と右肩甲骨までに広がる。服ですれただけでも痛い。皮膚を観察しても特に異変は無し。「帯状庖疹っぽいな」と気づき始める。痛いが我慢できるので、通常通りの生活。
【治療】
手の小指、薬指の爪際の外側、ひとさし指の爪際の内側に刺絡。刺絡とは、三稜鍼等の特殊な鍼で皮膚を浅く穿刺し、数滴出血させるという鍼灸治療法。どす黒い血が出て、刺絡後痛みが和らぐ。

刺絡
指から刺絡をしている所


・7月28日 背中に疱疹ができる
【状況】
朝起きると背中に蚤に刺された痕のような紅斑が二つできている。蚤の割には範囲が大きく500円玉くらいの大きさ。痒い。飼い猫には蚤駆除の薬を投与したばかりなので、「やっぱり帯状庖疹か」と思う。服を着ていると皮膚が刺激され、焼けるような痛みや、鍼で刺すような痛みが交互に来る。痛みは前日より強い。痛みがかなり気になるが通常通りの生活。
【治療】
前日同様、手の小指、薬指の爪際の外側、ひとさし指の爪際の内側に刺絡。刺絡後痛みが和らぐ。劇的な鎮痛効果は約30分くらいで、その後はまた痛み出すが、刺絡前よりは痛みが抑えられている。この日は刺絡は一日二回行った。出た血液は相変わらずどす黒い。
・7月29日 痛む範囲さらに拡大
【状況】
痛みの範囲が腕の後ろ側にまで広がる。服を着ていると痛いので、部屋の中では上半身裸でいる。結構辛くなってくる。痛いが我慢できるので、通常通りの生活。
【治療】
痛む範囲を鏡に映してみると、細絡が沢山できている。細絡とは、皮膚に発生するイトミミズ状の毛様血管腫。今回は指からの刺絡の他、その細絡にも刺絡を行う。合計21カ所に刺絡する。刺絡後、痛みは半減する。

細絡刺絡
細絡からの刺絡


・7月30日 親に灸をすえてもらう
【状況】
痛みの範囲は前日と変わらず。相変わらず服ですれると痛い。この日は姉と甥姪が来たので、食事をしながら飲酒。飲酒によって悪化はしない。翌日学校で講義があるので、深夜2時まで講義準備。
【治療】
手の小指、薬指の爪際の外側、ひとさし指の爪際の内側に刺絡。親に頼んで台座灸を背中にすえてもらう。台座灸は、せんねん灸等の家庭用温灸でつぼを指定してもらえれば素人でもできる。
・7月31日 痛みが肘のあたりまで広がる
【状況】
痛みが肘のあたりまで広がる。痛み自体には慣れてくるが、一日中痛みが気にはなる。午後から講義をし、中休みに往診、その後夕方から講義をして家に帰る。
【治療】
朝晩肘の周りへ自分で灸をする。手の小指、薬指の爪際の外側、ひとさし指の爪際の内側に刺絡。
・8月1日 痛みのピークから快方へ
【状況】
痛みのピーク。今までで一番痛く、特に脇の下から腹部にかけて痛む。痛む範囲も胸から上腹部まで広がる。痛いが我慢できるので、通常通りの生活。
【治療】
この日はかなり痛かったので、痛みが消えるまで思いつく所全てに自分で鍼を行う。その中でも足臨泣という、足のやや外側のつぼに鍼をすると痛みが激減。ほぼ無痛状態になる。鎮痛効果は30分ほど続き、その後痛み出すが治療前の半分程度に抑えられる。この日から快方に向かう。
・8月2日 疱疹の赤みが薄くなる
【状況】
この日辺りから、疱疹の赤みが薄くなり始める。痛みはまだ残っていて、相変わらず服ですれると痛い。痛いが我慢できるので、通常通りの生活。
【治療】
鍼灸治療受療。この日の治療後から、痛みに痒みが混ざり始め、痛む範囲が大幅に縮小。胸部から肩甲骨周囲にかけて痛いだけで、腹部や腕の痛みはなくなる。
・8月3日 トドメの一撃
【状況】
午後から教員研修会のスタッフとして半日過ごす。研修会終了後に鍼灸治療を受けに銀座へ。快方に向かっているので、ここでトドメの一撃を刺してもらうつもりで二日間連続で治療してもらう。
【治療】
鍼灸治療受療。脇の下のピリピリ感は残るが、かなり楽。痛む場所は脇の下のみとなる。服ですれてもそれほど痛くなくなる。
・8月4日 痒みだす
【状況】
朝起きると、今まで何ともなかった疱疹の患部が痛み出すが、夜になるとそれが痒みに変わる。かなり痒い。
【治療】
手の小指、薬指の爪際の外側、ひとさし指の爪際の内側に刺絡。どす黒い血液が出なくなり、サラサラとして鮮血が少量出るようになる。
・8月5日~8日 楽になったので治療をサボる
【状況】
痒いのみ。痛みは少しあるが、90%くらい治った感じ。
【治療】
無し
・8月9日 様子を見てもらいに
【状況】
痒いのみ。痛みは少しあるが、95%くらい治った感じ。
【治療】
鍼灸治療受療。もう痒いのみで大丈夫そうだが、様子を見てもらう意味で受療。疱疹自体もかなり小さくなった模様。治療後100%痛みが消える。


3.鍼灸治療のみで10日間で痛み消失
 以上のような感じで自分の身体を実験台にし、鍼灸治療のみで帯状庖疹を治しました。この10日間は周囲の方に大げさにされると嫌なので、自分が帯状庖疹であることを敢えて告げずに普段通りの生活をしましたが、痛みは我慢できる程度に抑えられ全く支障がありませんでした。帯状庖疹に対する鍼灸治療の効果は確実です。
 ただ、毎日自分の身体に鍼をするなんていう芸当は、鍼灸師であるからこそできる事だと思うので、実際に自分の患者さんが帯状庖疹に罹ったら皮膚科に行かせて、鍼灸治療と併用してもらいます。


4.自然治癒のスピードを速め、疼痛をコントロールする
 今回は症状を悪化させず、治癒を一日でも早くするというのを目標にして挑戦しましたが、見事達成できました。こういった性格の病は一回の治療で劇的に治すというより、自然治癒のスピードを速め、自然治癒するまでの間疼痛をコントロールするといった感じになるのだなぁ、と改めて感じました。
 また、早期に治療を開始したせいかどうかはわかりませんが、疱疹は全く広がりませんでした。僕としては痛みよりも疱疹が背中全体に広がったりするのが一番嫌だったので、毎日マジメに治療を行った感じです。


5.帯状庖疹観察日記
 以上が僕の帯状庖疹観察日記でした。帯状庖疹なんかに罹ってしまうと、普通は落ち込みそうですが、毎日観察するのが結構楽しい感じでした。僕は痛みに弱い方の人間なのですが、鍼灸で痛みが我慢できる程度に抑えられていたからこんな事が言えるのかもしれません。でも、もうなりたくないですね。




鍼灸専門の成鍼堂-東京都練馬区

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Comments

wrote:

2006-08-12 02:28:53

コメントありがとうございました。
早速、TBのやり直しと、
リンク・RSSの設定を行いました
確認お願いします。

sozo wrote:

2006-08-12 10:48:06

剛さん:どうやらgooのブログと当方で使用しているブログの文字コードが異なっているために文字化けするようでした。今回はとりあえずデータベースの方を直接いじってなおしておきました。

トラックバックそのものの機能は時間のある時に修正してみます。

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